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USトヨタ シエナSE V6-3.5
(後期)
トヨタ
シエナは北米を中心に販売されているLサイズミニバンで、今回の試乗車である現行モデルは2010年より販売されている車両になります。一番のライバルは
日産クエストやホンダ オデッセイ(北米仕様)になりそうです。
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試乗車概要
TOYOTA SIENNA SE(GSL30)
トヨタ シエナは北米と一部アジアの国で販売されている車両で、アルファードやヴェルファイアよりも一回り大きく、車高が低いことが特徴です。
日本車であればエスティマを二回り大きくした車両になりますが、アメリカの広大な道路を走る分には全く問題を感じる必要は無いでしょう。
日本や東南アジアではアルファードのようなミニバンを高級車とした位置づけで販売されている一方、SUVが主流のアメリカではファミリーカーの意味合いが
強いです。
正式グレードと概要
TOYOTA SIENNA SE
排気量
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3,500㏄
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最高出力/トルク※
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300ps/36.4kgm |
走行距離 |
320miles
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今回の平均燃費
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-km/L
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車両本体価格 |
$37,565
ほ
ど |
試乗日の路面状態 |
ドライ・ウェッ
ト
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※USトヨタの情報を基に変換しているため、若干の誤差がある可能性あります。
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今回試乗したシエナ
SEというグレードは、シエナのスポーティグレードに該当します。フロントグリルやホイールがスポーティになっているほか、サスペンションもスポーツ用に
なっているとの事で、そのあたりも検証してみたいと思います。
シエナSE エクステリア(外観)
まずは、シエナSEのエクステリアデザインの紹介です。
よりスポーティな見た目になったフロ
ント
シエナSE フロント スポーティな網目グリルが特徴です。
車高が低く、現行古めのエスティマを連想させるデザインになっていますが、実際にはエスティマどころか、アルファードやヴェルファイアよりも全幅は広く
1986mmもあります。
2010年より販売されているため、デザインの古臭さは否めないものの、最近Yahoo!ニュースで話題の「オラオラ顔」とは無縁なフロントデザインのよ
うに感じられます。
トヨタ シエナ サイドデザイン
一時期 流行ったウィッシュやマークX Zioのようなミニバンのデザインです。
が、全長は5,085mmあり、レクサスLX(5,080mm)と同等のボディの長さです。
アルファードが居住性を確保するために、全長5m以下でありながら真四角のボディであるのに対し、全長に制限を受ける必要のない地域で販売される車両は、
自由度が高いものと感じられます。むしろ、アメリカにおいてアルファードでは狭いかもしれません。
トヨタ シエナ リアデザイン
シエナSE リアデザイン
重そうなボディを持っていそうな印象のあるリアデザインです。クリアテールはSEの特徴になっています。
シエナSE インテリア(内装)
まずは、シエナSEのエクステリアデザインの紹介です。
今回は北米での試乗であったため、左ハンドルになっています。と言うより、シエナは左ハンドルのみの設定と記憶しております。(日本の並行輸入でもシエナ
の右ハンドルは見ません。)
シエナSEは本革シートを採用
写真は2列目のシート
運転席には8Wayパワーシート、助手席には4Wayパワーシートが装備されていますが、2列目は手動式のシートになっています。
また、穴の開いたレザーシートになっていますが、ベンチレーション機能(穴から冷たい風が出てくる装備)は装備されず、熱い夏のカリフォルニアでは少し辛
いシートになりそうです。
シエナSEのインテリアに高級感は無
い
シエナに高級感は無いと言えるでしょう。
日本人やアジア人はミニバンに高級感を求める傾向がある一方、アメリカにおいてはSUVが高級車として台頭しており、シエナのようなミニバンには最低限の
レザーシートなどは装備しても、高級車にする必要は無い考えているのでしょう。
シエナSE 2列目が広い
足元が広いのはアルファード・ヴェルファイアも同じです。
何がスゴイと問われれば、上の写真であっても幅が異常に大きいことが分かります。
上記写真はアルファード2.5Sとの比較用です。アルファードの方が横幅が狭いため、詰め込んでいる印象が強いです。(前後が狭いのは。フットレストを出
している点と3列目の広さを確保するためです。)
ちなみに、今回のシエナは7人乗り・・・、
2列目の真ん中のシートが収納されています。
時間の関係で設置出来ませんでしたが、こちらを2列目のキャプテンシートの間に挟み込めば、8人乗りのシエナの完成です。合理的と言えば合理的です
が・・・。
後席のエアコンスイッチ
後部座席と運転席・助手席のそれぞれで温度調整が可能になっています。
シエナSE 3列目のシートは広いが
イマイチ
シエナの3列目シート
2列目シートは初代アルファードMZ Gエディション(最上級グレード)に匹敵するものですが、シエナの3列目は足元自体は広いものの、貧相な印象が否め
ません。収納することも可能なため、エマージェンシーの要素が強いかもしれません。
3列目シートは収納可能
3列目シートを収納した荷物スペースの写真が上手く撮れていなかったのですが、一つ言えることは、多数のスーツケースだろうが、ゴルフバッグだろうが、ス
キー板だろうが、3列目を収納すれば一切心配する必要はありません。
アルファードやヴェルファイアは跳ね上げ式の3列目シートですが、シエナの場合にはエスティマやエルグランドのような収納式になっています。ただ、60:
40で分割することが出来るため、6人乗車であっても大量の荷物を収納することが可能です。
シエナSE 走行性能
続いてはシエナ SEの走行性能の紹介
2017年のマイナーチェンジの際にV6-3.5Lエンジンの更新が行われました。後ほど詳しくお伝えします。
シエナSE 直進安定性や高速性能
アメリカの直線道路を走ってみました。
基本的にアメリカの道路は日本ほど良くないと言われ、荒れた路面を走っている印象を受けます。そのため、スピードを出すとイマイチです。アメリカの舗装状
態が良くない道路でも、インフィニティや欧州車はよく走ってくれるのに対し、やはり ほぼ北米向けだと感じられます。
他のアメリカの車も似たようなものなので、少しだけワイルドな気分になれますが・・・。
シエナは街中で走りやすいか?
今回は都市部は走っておらず、道も駐車場も広い郊外ばかりを走っていたため、何も感じることはありません。横幅が大きな感じはあるものの、都市部のように
路上駐車車両をスレスレで通過したり、狭い道を走ることが無いため、全く気になりません。
こんな車で東京都心を走ろうとすれば、少し大きいかもしれません。
19インチアルミにスポーツサスペン
ション
シエナSE専用19インチアルミ
タイヤサイズは19インチでありながら235/50R19であり、かなりお金のかかりそうなタイヤです。貧乏な筆者は扁平タイヤに交換することは予算的に
きっと無理でしょう。
それより気になるのがシエナSEには「スポーツサスペンション」が搭
載されている点です。
シエナSEはコイルスプリングがスポーツチューンされていると表記されていたのですが、普通に走る足回りは硬いとは言えず、乗り心地も普通に悪くありませ
ん。でも、信号が変わりそうな時に高い速度で交差点を曲がるとミニバンなのに「しっかり」した印象で曲がれます。
アルファードと比較をすると車高が低く、横幅が広いため安定している可能性は十分に考えられますが、思ったより山道でも走れそうな1台です。
シエナに搭載のV6-3.5Lエンジ
ン
トヨタ
シエナには従来より、V6-3.5Lエンジンを搭載していましたが、エンジン型式が変更になり、2GR-FEから2GR-FKSと呼ばれるエンジンに変更
になりました。これにより、280ps程度の最高出力が300psにアップしたのです。
しかしながら、2GR-FKSと言うエンジンは、レクサスGS350やRC350に搭載されているものと同じで、より高性能になり、より静粛性に優れたエ
ンジンであると言えます。(参考までにクラウンやマークXの3.5Lモデルも近いエンジンを搭載しています。)
そのため、エンジンの始動音やエンジン音はGS350やクラウンと同じになり、従来のトルクフルを感じさせてくれるものとは異なります。
また、実際に急発進・急加速を行うと思いっきりホイルスピンを起こす一方、シエナの重たいボディに搭載していることも相まって、速いですが力強さを感じる
ことはありません。
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2GR-FKSエンジン搭載した車(興味が無い方は飛ばして下さい。)
2GR-FKSエンジンはGS350やRC350等のFR車に搭載しているものでしたが、ここ最近になり、
・シエナ
・アルファード/ヴェルファイア
・レクサスES350
・レクサスRX350
・カムリ3.5
など、FF車にも搭載されるようになりました。
なお、LS500h/LC500h/LS500に採用されているV6-3.5Lエンジンは全く別の種類になります。
何となく、ハイブリッドやダウンサイジングターボで生産数が減っているであろうV6エンジンの種類を一本化したかったのでは?と推測しております。
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ちなみに、シエナに搭載さているという観点でエンジンの静粛性を述べるとすれば、あまり静かなエンジンであるとは感じられません。アルファードやヴェル
ファイアの方が圧倒的に静粛性に優れ、遮音設備は大事であると感じられます。
シエナSE その他 気になる点
最後にシエナ2018年モデルの気になる点を紹介いたします。アメリカにおいて車を運転する=細かいことは気にしては「いけない」と言うことでしょうか。
7インチ ディスプレイ
7インチ ディスプレイは標準装備
オーディオ設定やBluetoothの設定を行うことが可能ですが、「カーナビ」の装備はシエナSEでは有料オプションになります。
また、Wi-Fiも装備されていますが、別途何か契約が必要そうなことから役に立ちません。また、コネクテッドカー(Car
play的な)が装備されており、スマートフォンと接続してカーナビの画面を表示したかったのですが、これも上手に出来ませんでした。
日本で別の車で操作したときは、簡単にできたのですが・・・。
トヨタ
セーフティセンスPが標準装備
シエナにもトヨタ セーフティセンスPが装備されています。
まぁ、正直ガサツな車と言う印象がありますが、装備されていて損はありませんからね。でも、全車速では無いと曖昧に記憶しております。
USトヨタ シエナSE 総評
アルファードやヴェルファイアよりも大きく広く、エスティマと同じ低重心の走行性能を感じられるミニバンはアメリカならでは
と言えるでしょう。一方で乗り心地においてアルファードほどの繊細さは無く、やはりアメリカンな1台です。
だからこそ、日本国内でも並行輸入をしてでも乗りたい人がいるかもしれません。USトヨタの車両としては、タコマやタンドラ・セコイヤほどで無いものの、
憧れる1台であると言えます。日本仕様のRAV4にはガッカリした方も多いのでは ないでしょうか。
現在、販売車種を減らそうとしているトヨタですが、エスティマが日本国内でリストラされる車種になる可能性は十分にあります。(販売店とすればエスティマ
が無くてもアルファードがあれば十分に売れる見込みはあるでしょうし)
低重心ミニバンは運転しやすいことから、その時には
ぜひシエナを日本でも販売してほしいものです。もちろん、日本で売るならシエナよりエスティマの方が絶対に売れるため、日本で販売される見込みがないこと
は十分に分かっているのですが・・・。それでも憧れの1台です。
関連項目:
トヨタ ヴェルファイア3.5ZA”Gエディション”
ヴェル
ファイア エグゼクティブラウンジ3.5
アルファード 2.5S
7人乗り(2WD/30系)
トヨタ エスティマ
アエラスプレミアム(30系/マイナーチェンジ後)
レクサス LX570(後期)
クラウン ハイブリッド アスリートS Four(210系/後期)
レクサス RX450h バージョンL
北米日産 QUEST
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