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ポルシェ マカンS(V6-3.0L)
ポルシェ マカンはポルシェ
カイエンに次ぐSUV第2弾の位置づけで、カイエンと比較をすると一回り小さく、運転がしやすいことが特徴です。マカンは商業的大成功した1台であり、危
機的状況に陥っていたポルシェを救ったと言っても過言ではありません。
プラットフォームはアウディQ5と同一のものを採用し、またポルシェ最安値で購入できる点も話題になりました。
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試乗車概要
Porsche Macan S
アウディQ5をベースにした車両であり、FFベースの4WDとなっています。ただし、アウディクワトロの技術とは別の技術が採用されています。
また、ポルシェに搭載されているエンジンは水平対向6気筒(マカン発売当時)が採用されていることが多いですが、マカンは直列4気筒またはV6が採用され
ています。
正式グレード
Porsche Macan S
排気量
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3,000㏄
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最高出力/トルク |
340ps/46.9kgm |
走行距離 |
約100km
(高速・街中) |
今回の平均燃費
|
5.0km/L
(ざっくり)
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車両本体価格 |
約850万円ほ
ど |
試乗日の路面状態 |
ドライ・ウェッ
ト
|
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ポルシェ
マカンはグレードごとに異なる性質を持っており、
・マカン(直列4気筒 2.0Lターボ):多くの欧州DセグメントSUVがライバル
・マカンS(V6-3.0Lターボ):BMW X3 M40i、メルセデスAMG GLC43 4MATIC等
・マカンGTS:(V6-3.0Lターボ)何だろう?
・マカン ターボ(V6-3.6L ターボ):メルセデスAMG GLC63、BMW X3 M 等
と言う感じで、「ポルシェ マカン」と言う1台の車名でありながら、高級SUVから「サーキットを走れるSUV」まで様々な性質を持っています。
今回は売れ筋とも言われる「ポルシェ マカンS」の試乗記をお伝えします。
ポルシェ マカンS エクステリア
まずは、ポルシェ マカンSのエクステリアの紹介です。
一目でポルシェのSUVと分かるフロ
ントデザイン
ポルシェ マカンS フロント
近頃のポルシェのデザインと言えば、フロントから見たこれです。地上最低高が高く、ポルシェのSUVであることも簡単に分かります。
気になる点とすれば、同じポルシェのSUVであるカイエンと比較をすると、違いがハッキリ分からず、カイエンなのか?マカンなのか?パッと見では分かりづ
らいところです。
でも、一つ言えるのは、やはりポルシェのデザインを見てカッコイイとは思えません・・・。
マカンS 横から
マカンS 横から撮影
横から見るとコンパクトSUVに見えないこともないですが、実際は大きいです。安定性のため天井が萎んで小さく見えますが、Dセグメントに相当するため、
アウディQ5やBMW X3くらいの大きさはあると考えて良いと思います。
標準のアルミはカッコが良くない
正直マカンはオフロードを走るSUVでは無く、高速道路を走るSUVです。スタッドレスタイヤを装着する予定が無ければオプションにはなりますが、インチ
アップしたアルミを装着することを強くオススメしたいです。
マカンS リア
マカンS リアから撮影
おそらくマカンのリア姿は世界一醜いデザインであると言っても過言では無いでしょう。「のっぺらぼう」を彷彿させるようなデザインになぜ上層部はゴーサイ
ンを出したのか?理解に苦しみます。
そしてポルシェのデザインの特徴は、フルモデルチェンジが行われる際にも大幅なデザインの改良が行われないため、あと15年以上はこんな感じのデザインに
なることが予測されることを考えると、あまりにも悲しいです。
Macan S のエンブレム
リアハッチの開き方
ワイパーの根元にスイッチが用意されており、そちらを押すとリアハッチが開くようになっています。もしくはエンジンキーにもスイッチが用意されています。
ポルシェ
マカンS インテリア(内装)
続いては、ポルシェ
マカンSのインテリアの紹介です。マカンSは車両本体価格が安い一方で、充実のオプション装備を用意しており、オプション次第では豪華なインテリアにする
ことも可能です。
ですが、今回の試乗車であるマカンSは、ほぼ無オプション・標準装備品のものばかりであります。しかし、ものすごくコストパフォーマンスに優れたインテリ
アになっています。
快適なフロントシート
マカンS運転席(一応コンフォートシートと呼ぶそうです。)
ドイツ車らしく硬めに設定されたシートは、見事なまでに体にフィットし、長時間の移動も快適です。また、スポーツ走行を行う際も体がしっかりホールドされ
ることから、山道においても同乗者が不快になる可能性は低くなります。
また、オプションでアダプティブ・スポーツシート(本革・ベンチレーション付き)を選択すれば、メルセデスベンツSクラス(ラグジュアリーパッケージ装備
車)やレクサスLS460(旧型)のような快適な座り心地を選択することも可能です。
インテリアの高級感は皆無
インテリアパネル
ポルシェに高級感は不要かもしれません。そのため、特にオプションで装備をしない場合には、フォルクスワーゲン
ゴルフと変わらないようなインテリアです。
一応オプションでウッドなどのパネルも用意されているみたいですが、多くは上の写真のようなスポーティなインテリアに仕上げていることが多いようです。
後部座席のシートは硬め・あまり広く
ない
マカンS 後部座席
マカンはDセグメントSUVであるため、後部座席は広くはありません。後部座席のリクライニングも装備されておらず、長時間の移動には「物足りない席」と
いう印象です。
ただ、広くないとは言いつつもスポーツカー(2ドア車)の後部座席のように「狭さに問題がある」というわけでは無いので、ファミリーユースにも申し分はあ
りません。
ラゲッジスペース
マカン ラゲッジスペース
十分なスペースは確保されています。ただ、トノカバーより下の容積が少し狭そうな印象があり、ゴルフバッグを積むことを考えた場合には、あまり期待できま
せん。
ポルシェ 純正ナビ ポルシェ
コネクト
ポルシェ コネクト
一応、アプリをダウンロードすればスマートフォンと接続が出来るらしいです。(Bluetoothとかではなく)
一応こんな画面もあります。
コネクティング機能などは充実したポルシェ
コネクトですが、ナビの操作性自体は比較的シンプルである印象があります。ただし、使い方がよく分からないうちは、Bluetoothを繋ぐまでに相当手
間取った記憶があります。
ポルシェ マカンS 走行性能
SUVなんて走行性能は二の次と考える方は多くいらっしゃるようで、「なぜポルシェにSUV?」という認識は根強いようです。しかしながら、ポルシェらし
いSUVの解釈を感じられる1台でした。
マカンSにはV6-3.0Lエンジン
を搭載
マカンSのV6-3.0Lエンジン
最高出力は340psであり、4.5Lに相当するパワーを持ったエンジンになるため、ある意味ダウンサイジングターボになるのでしょう。
説明するまでも無く速い車です。しかし、SUVでボディが重たい点や4WDであることから、ものすごく落ち着いた加速性能で、キックダウンによる急加速を
行っても「官能的」な加速を味わうほどの性能は持っていません。
特に高速道路においては路面に吸い付
くような走り
高速道路は、まさにたとえSUVであってもポルシェの本領発揮と言える場所になります。
どのような速度であっても、ドイツ車らしく路面に吸い付くような走りをするため、たとえ台風で横風に煽られるような時であっても、指一本あれば運転するこ
とが可能です。前方を走行する車が横風に煽られていても、マカンはそのような気配を感じることがあまりありません。
トップスピードが低い点は少々残念にも感じられますが、日本の高速道路であれば全く問題無く、マカンは快適に走行道路を走行出来る1台であると言えます。
カーブの安定性がスゴイ
SUVであればアウディQ5の安定感もスゴイのですが、ポルシェ マカンはそれ以上にしっかりとした走りをしてくれます。
高級スポーツセダンを運転しているような走り心地は、大袈裟な表現をするなら「サーキットを走れるSUV」という言葉すら当てはまります。
横風にも強い
とある台風が接近している時に、マカンSを運転してみたのですが、前方の車両がふらついている状況でありながら、自車のマカンは一切ブレることがありませ
んでした。裏を返せば強風の中スピードを出し過ぎてしまうリスクもあるほどです。
また、雨の日の走行もドライ路面を走っているような感覚で運転することが可能です。
マカンS 走行性能 総評
筆者が今まで試乗したSUVの中でも最強のSUVと呼べる1台です。(SQ5も素晴らしいSUVです。)
足回りもスポーツカーのように硬く設定されていないため、乗り心地と走りが両立できています。また、決して広い車内ではありませんが、SUVで車高が高い
ことにより車内の居住性も確保されています。
エンジンも直4-2.0Lターボが主流になる中で、V6-3.0Lターボをポルシェの中ではお求めやすい金額に設定している点も魅力的です。
マカンSは家族がいるからスポーツカーを諦めた人に心の底からオススメをしたいクルマです。(いくら安いと言えども筆者のような一般庶民には手の届かない
存在ですが・・・。)
ポルシェ マカンS ダメな点
走行性能において褒められる点の多いポルシェ マカンですが、残念な点も感じられます。
デザイン
デザインだけで見ればポルシェと分かりますが、乗るまで(運転するまで)ポルシェの魅力は一切分からないほどです・・・。
燃費性能
V6-3.0Lにターボが付いたガソリンエンジンの燃費性能は最悪です。
最高出力は4.5L相当ながら燃費性能も4.5L相当であるため、街中においては、すこぶる悪い燃費と言えます。(参考までに、街中だけなら筆者の運転で
約2.5km/Lを達成しました・・・。)
敏感すぎるコーナーセンサー
日本仕様のポルシェも純正ナビ(ポルシェ
コネクト)が採用されるようになりました。しかし、一つ困った点があり、コーナーセンサーが上記のように敏感に反応するのです。
何か障害物に近付いて反応する分には問題ありません。しかし、赤信号で停止をする際に近くに中央分離帯やガードレールがあるだけ(しかも、バイクがすり抜
けられるくらいの距離は離れています。)で反応するのです。
ボタンがごちゃごちゃ過ぎて使いづら
い
マカンのシフト周り
デザインが統一されているため見苦しさはありませんが、ポルシェ コネクト上で操作できる項目が少ないため、とにかくボタンが多すぎます。
ポルシェ マカンS 総評とまとめ
ポルシェ マカンSは外観のデザインは悪いながらも、乗ればイイ車だということが
よく分かる1台です。スポーツな走行性能を持っていながら、実用性に優れた1台で、家族の送迎・ゴルフ・スキー・山道のドライブ等、何にでも使うことので
きる1台です。
カイエンよりも取り回しが良く、こればかりは、ポルシェのくせにSUVと思いながらも、ポルシェが考えたSUVであると感じられます。
あとは、マカンSの商業的ライバルであるメルセデスAMG GLC43 4MATIC(878万年)やBMW X3
M40d(875万円)などと比較をすると、メルセデスもBMWもほぼフルオプションに近い状態で販売されているのに対し、ポルシェ
マカンSはより贅沢な装備はオプションとなるのです。
贅沢とも言える必要最低限の装備は充実していると言えるマカンSですが、このご時世であることを考えると、アダプティブクルーズコントロールやLEDヘッ
ドライトなどは標準装備にするべきでは ないかと感じる次第です。
なお、外観デザインに関しては乗ってしまえば車内からはほぼ分かりませんのでご安心ください。
関連項目:
第2世代 アウディQ5
2.0TFSIクワトロ
アウディ SQ5(3.0/クアトロ)
アウディ A4
2.0TFSIクワトロ(B9)
アウディ Q7 2.0TFSIクワトロ
アウディA6アバント
2.0TFSIクワトロ(後期)
アウディ
A4アバント 2.0TFSI クワトロ
BMW X3 xDrive20d
(G01)
メルセデス・ベンツ GLC220d
4マチック
メルセデスAMG E43 4MATIC
メルセデスAMG C43 4マチック
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