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マセラティ ギブリS Q4(4WD/M157)
マセラティ ギブリは2013年よりEセグメント
スポーツサルーンとして販売されている車です。最上位にクアトロポルテがあることから、ギブリはマセラティの入門サルーンとしての位置づけが強いです。
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試乗車概要
Maserati Ghibli S Q4
今回の試乗車は3代目に該当します。2代目までは2ドアクーペで、デザインは美しいながらも古臭さを感じるものでした。
しかし、フェラーリ傘下になってからのマセラティは、デザインはモダンと言え、壊れやすいという悪名も一転、信頼性の高いクルマになりました。
特徴としては、近頃の4ドア車では珍しい、窓に枠が無くデザイン性に優れたサッシュレス(いわゆるハードトップ)となっている点です。
正式グレードと概要
正式グレード
Maserati Ghibli S Q4
排気量
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3,000㏄
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最高出力/トルク
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410ps/56.1kgm
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走行距離
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133km
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今回の平均燃費
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14.8
l/100km(※)
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車両本体価格
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1,150万円
(日本)
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試乗日の路面状態
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ドライ・ウェット
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※100km走行するのに14.8Lの燃料を消費
⇒つまり6.7km/Lを表します。
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マセラティ
ギブリは3通りのグレードがあり、
・マセラティ ギブリ(ベースグレード)
・マセラティ ギブリS
・マセラティ ギブリS Q4
および
・マセラティ ギブリ ディーゼル
となっています。
ガソリン車においてギブリとギブリSの違いは、ギブリSは高出力エンジンを搭載し、ブレーキ性能等も強化されています。また、Q4はAWDを意味します。
現在のマセラティは販売拡大戦略をとっており、日本においてもギブリ ベースグレードとギブリ ディーゼルは1000万円を切る価格で購入が可能です。
ドイツの6気筒3.0Lターボエンジンを搭載したEセグメント車(メルセデスE400/BMW540i等)の車両本体価格が1000万円前後する現在、ギ
ブリの購入検討の余地があるほか、V6のディーゼルや4WDが設定されたことで、豪雪地帯も含め、購入する人は大幅に増えました。
今回の試乗地はハワイ オアフ島です。
なお、以前日本(東京都内)でもギブリ(ベースグレード)に試乗しているため、その時の経験と合わせて試乗記として紹介します。
マセラティ ギブリSの外観
イタリア人のデザインセンスは素晴らしいということを紹介させていただきます。
高級感あふれるフロントデザイン
大きなフロントグリルが印象的です。
ランボルギーニのようにコテコテのスポーツカーの印象は無く、オシャレとスポーティを両立したフロントデザインです。
ギブリ サイドデザイン
横から眺めても芸術的なデザインです。
リアピラーの銛(もり)のエンブレムすら美しいです。
ギブリS Q4 リアデザイン
4本出しマフラーが印象的であります。
4WDであるQ4にはQ4のエンブレムがつけられています。
マセラティ
ギブリのデザインはもっとも美しい4ドアサルーンと言っても過言では無く、街を走れば間違えなく注目の的になります。(上には上がいるというのは今回は無しで・・・)
女優さんに例えるなら桐谷美玲さんと言いたいところですが、桐谷さんは痩せ過ぎているのに対し、ギブリは少し太めのボディなので・・・・以後自粛とさせていただきます。
マセラティ ギブリ インテリア
再びイタリア人のデザインセンスは素晴らしいということを紹介させていただきます。
高級バッグを持ち歩くようなフロント
インテリア
ギブリのフロントシート
シートのカラーは赤や黒なども選択することが可能ですが、なかなかオシャレなシートになっています。ただ、見た目は良いのですが、座り心地は悪くは無いものの普通です。
細かい所にウッドパネル
ダッシュボードはシートと同じ色の本革で、ウッドやアルミのパネルは採用されていません。しかし、車内を見回すと、ギア周りの他こんな場所にもウッドパネルが採用されています。
後部座席は広め
運転席は少し後ろに下げ過ぎているため、後部座席は狭い印象を受けますが、常識的な位置にすればそれほど狭くありません。(助手席の後ろを参考にしていただければ)
トランクはあまり広くなく
少々汚してしまいすみません。
今となっては記憶がありませんが、ゴルフバッグをベースに考えたときに、あまり多く入らない印象を持ったことを覚えています。
ただ、ゴルフバッグのことを考えなければ、十分な容積はあります。
マセラティ ギブリS
Q4 走行性能
首を左に傾けてください。
マセラティのイメージと言えば「速いクルマ」ですが、V6-3.0L
410psの走行性能のいつ力はどうでしょうか?日常のシチュエーションと合わせて紹介します。
街中では運転しづらい
具体的な問題点は、エンジンにあります。
ドッカンターボのような印象を持つマセラティ
ギブリSのエンジンですが、発進時にアクセルを軽く踏んだだけでは十分に加速しないものの、一定の速度(回転数)に達すると同じ踏み方でも急激に加速を始めます。
イメージ的にはレヴォーグ1.6GTのようです。
決して軽いボディではないことを考えると、発進時のターボがもう少し早く動き始めれば、もう少し快適な乗り味になるでしょう。
ただし、レヴォーグ1.6GT同様、しばらく走るとこの感覚は慣れます。
高速道路は快適
カムリのページからカリフォルニアの高速道路の写真を引用
日本やドイツと違い、アメリカの高速道路は段差やつなぎ目が多く悪路に等しいと言えます。当然そのような道路であることから、日本の高速道路では安定性に優れた車であったとしても、あまり安定しないのです。
そんなアメリカの道路をマセラティ
ギブリで走行しましたが、他の車種と比較をしても圧倒的に優れた安定感があり、片手で相当の速度を出したとしても恐怖感を覚えること無く運転することが可能です。
したがって、日本以上に長距離の移動にておいて、運転が楽と言う意味で快適なクルマです。
カーブを攻めるのには適さない車
このような道路を走ると気持ちの良い車です。
ただ、ギブリでカーブを攻めてもハンドリングの良さは感じられず、感動もありません。同乗者からクレームがきます。ということで、マセラティ
ギブリでは峠を攻めるより、北海道の農道や沖縄の海沿いのルートを走行したいものです。当然、カーブが少ないハワイの道も最適な1台です。
マセラティ ギブリSはどんな車か?
マセラティ ギブリSは、出力のスペックを見ればBMW
M3/M4(431ps/56.1kgm)とほぼ同等でありながら方向性が全くと言って異なる車です。
BMW
M3/M4は官能的な車でカーブを攻めれば昇天するくらいの走行性能があり、まるで暴れ馬を操るようですが、ギブリSは本気でコーナーを攻めれば体ごと変な方向に持ってかれてしまう一方、乗り心地は十分に優れているジェントルマンのような車です。
となれば、メルセデスAMG E43
4MATIC(401ps/53.0kgm)に近いスペックになりますが、加速感もカーブを曲がる際のフィーリングも同じイメージではありますが、決定的に違う点として、絶対的な安定感はギブリSの方が上であると言う点です。
したがって、世の中の車はメルセデスだけでは無いのは重々承知していますが、
ギブリの走行性能はメルセデスAMG
E43以上メルセデスAMG E63未満
です。
ギブリS
Q4のAWDの性能はどうだろうか?
AWDの恩恵を受けられる道路は走行していませんが、印象として、発進すると簡単にトルク配分が50:50になります。そのため、凍結路面で空転をしても
トルク配分が50:50にならない(AUTOモード)日産エクストレイルと比較をすると、もしかすると雪道の走行性能は強いかもしれません。
ちなみに、発進時を除けばトルク比率は10:90~0:100の後輪駆動になり、車体が安定している限り後輪駆動(に近い)状態で走り続けます。
ただ、このAWDのおかげで急加速時も素敵なくらいの安定性が保たれます。
そのため、ギブリ
ベースグレード(330ps/51.0kgm)を初めて運転した際に感じた官能的な加速は無く、急激な加速の中に安定感があり、さらに音が良い車である印象を受けます。
したがって、マセラティ ギブリS Q4はジェントルマンな車なのだということが分かりました。
当然、カーアクションの撮影は難しく、どのように操作してもドリフトは難しそうです。
マセラティ ギブリS
Q4 気になる点
マセラティはイタリア車であり、日本人である私にとって理解し難い部分も多々ありました。良いところと悪いところと それぞれ紹介します。
イタリア人は足元もオシャレ
このようなデザインのペダルを見たことがありません。
ただ、オルガン式アクセルペダルでは無く、吊り下げ式であったため、踏み心地はごく普通でありました。
とにかくオシャレなクルマであるためか、
アナログ時計 でも少し見づらいか
も
ちなみに、ナビのモニタにも時刻は表示されていますし、
メーターにも時刻が表示されています。
(視力が悪いと見づらいかも)
どんだけ時間に厳しいんだ?とは思いますが、1台の車に3か所も時計があるため便利です。ただ、どれも文字が大きくないため、見にくいかもしれません。
北米仕様のギブリのカーナビの精度は高い
マセラティ タッチコントロール(現在は改良されたナビが装備されています。)
マセラティ
ギブリは日本でも走行したことがありますが、1000万円する車でありながら、カーナビのレベルが低かった印象があります。DVDナビが入っているような操作性で、輸入車の弱点を感じた次第です。
パナソニック製であったことから操作方法は非常に簡単でクラウン等のカーナビを操作する感覚ではありました。
しかし、北米仕様のギブリには別のメーカー(GARMIN)のものが採用されており、地図がくっきり表示され、大変見やすいものです。
現在は日本仕様でも改良されたタッチコントロールが装備されており、精度が高く、使いやすくなったと曖昧に記憶しています。
ご丁寧にバックモニタも装備されています。
ちなみに、こちらのモニタですが、
車両設定が可能です。
タッチパネルで行えるため、比較的車両設定が行いやすいです。少なくとも車両設定の大半をメーター内で行う必要があるトヨタC-HRより圧倒的に操作しや
すいものです。
そして今回試すことが出来ませんでしたが、ギブリには「アダプティブ フロント ライティング
システム」なる機能が装備されているようで、どの程度精度が高いシステムなのかチェックをしてみたいものです。
少し使いづらいシフト
ギブリのオートマチックトランスミッション
何が使いづらいか説明をすると長くなります。ただ、分かりやすく申し上げるとすれば、アウディA8(D4/2010年~発売モデル)と同じようなシフトであるため、
ギアをDからRに入れようとするとPに入ったりしま
す・・・。
狭い車庫に入れる際に切り返しを何度か繰り返すうちにストレスが溜まっていきます。
マセラティ ギブリS
Q4試乗記 総評とまとめ
オシャレで速くマセラティは車が好きであれば誰もが憧れる存在であり続けるでしょう。その一方で実用性には優れたクルマであるとは言えないため、車に興味
のない人が運転するような環境では、なかなか購入しづらい1台と言えます。しかも燃費が悪いです。
しかしその一方で、メルセデスAMG E43 4MATICより若干
車両本体価格は安く、メルセデス・ベンツ以上に高級感および「見た目のインパクト」は優れており、1000万円以内から購入できるギブリはコストパフォー
マンス抜群と言えるかもしれません。
また現在は信頼性も向上し、イタリアの車であってもそれほど故障することはなく、ドイツ車を購入するイメージで問題は無いでしょう。実際、私の知っている人でギブリを購入した人が居ますが、2017年現在3年経過していますが、大きな故障は無いそうです。
(偶然かもしれませんが・・・。)
マセラティ ギブリS Q4
試乗記 まとめ
・オシャレ重視の方にオススメ⇒レクサスであればLC以外対抗しようがない。
・乗り味はラグジュアリー志向であるため、ドライブデートに用いても批判はされない。
⇒SPORTモードはあるものの、ハンドリング性能におけるメリットは見出せない。
・あくまでもダウンサイジングターボの為、アクセルを踏み込まないと速くない。
・幅が大きくFRでもハンドルの切れが悪く、都心での運転は少し難しいかも。
・フェラーリの傘下に入って以降、故障に対する信頼性は高くなった。
・以前ほど中古車になっても値下がり幅が小さくなった。
・一方、日常生活における実用性は優れていないと言える。
⇒細かいことを気にするとイタリア人に嫌われるとはこのことか?
・マセラティ ギブリに限らないが、エンジン始動時の音はうるさい。
本気でサーキットを目指すのであればフェラーリで、あくまで一般公道の走行を目的とすればマセラティという考え方になります。
もし、1000万円の予算でドイツのEセグメント車の購入を目指しているなら(Mercedes-Benz E400、BMW 540i、Audi
A6 3.0TFSI Quattoro)、マセラティ ギブリも購入圏内であることから、ぜひ検討されることをオススメします。
今回はギブリS Q4の試乗記でしたが、ギブリ ベースグレードでも十分に満足できます。
そして、
パナメーラの最低グレードを購入するくらいなら、美しい外観を眺めることで乗車する前から幸せになれるギブリがオススメです。
関連項目:
BMW M4クーペ(F82/DCT)
メルセデスAMG E43 4MATIC
メルセデスAMG C43 4マチック
メルセデス・ベンツC180カブリオレ スポーツ
トヨタ 86 GTリミテッド
スバル レガシィB4 Limited
メルセデスAMG A45 4MATIC
スバル WRX S4 2.0GTアイサイト
アウディA6アバント 2.0TFSIクアトロ(後期)
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