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レクサス LC500 Lパッケージ (V8-5.0L)2(V8-5.0L NAエンジンを搭載したLC500走行性能を紹介)
このページは2ページ目になります。もしよろしければ、
レクサスLC500 Lパッケージ試乗記1 (デザイン編)
よりご覧ください。
レクサスLC500は2017年にレクサスより発売された最高級クーペで、車名であるLCの由来はLuxury Coupe。
ライバルになる車両は、メジャーなイメージを持つクルマならメルセデス・ベンツ Sクラスクーペです。LCはBMW 6シリーズやAudi
A7よりラグジュアリー志向の強い1台と言えます。BMW 8シリーズがデビューした際には強力なライバルの1台になりそうです。
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(おさらい)試乗車概要
LEXUS LC500 L-Package(V8-5.0L)
レクサスLCのパワートレインは2通りあり、
LC500 =V8-5.0L NAエンジン
LC500h=V6-3.5L ハイブリッド
となっています。
LC500hのハイブリッドシステムは新型レクサスLS500hにも採用されているものと同じであることから、LCが最高級クーペであることが理解できま
す。
また、最新のGA-Lプラットフォーム(いわゆるTNGA)が採用されているなど、レクサスLCはこれからのトヨタの高級車の基準となる1台と言えます。
(おさらい)正式グレードと概要
正式グレード
LEXUS LC500 L Package
排気量
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5,000㏄
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最高出力/トルク
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477ps/55.1kgm
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走行距離
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300km
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今回の平均燃費
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9.5km/L
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車両本体価格
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1,370万円
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試乗日の路面状態
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ドライ・ウェッ
ト
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LC500には3通
りのグレードがあり、
・LC500(1,300万円)
・LC500 Lパッケージ(1,300万円):ラグジュアリー志向
・LC500 Sパッケージ(1,400万円):LC500よりスポーティ志向
となっています。
今回はラグジュアリー志向であるLC500 Lパッケージの試乗記になります。
Sパッケージは電子デバイスがスポーティ仕様であることや天井がカーボンで出来ていることで走行性能に違いがあるようです。Fスポーツがラインナップに無いのは足回り性能に大きな違いが無いからでしょうか。
レクサス LC500にはV8-5.0L NAエンジンを搭載!
LC500に搭載されているV8-5.0L NAエンジン(2UR-GSE)
日本でV8-NAエンジンは希少なエンジン
これの何がスゴイかと申すと、近頃はエコロジーを重視するあまり、ダウンサイジングターボが主流で大排気量車も4.0Lや4.4Lにターボが付いていることが大半となりました。
2018年2月現在日本で販売されてるV8 NAエンジン(ターボ無し)を搭載した車はメジャーなところで、
・レクサス LX570
・レクサス GS F
・レクサス RC F
・トヨタ ランドクルーザー
くらいしか思いつきません。おそらく、LXとランドクルーザー以外は最後のV8-NA車になるでしょう。
つまり、LC500は最新の車でありながら、絶滅危惧種のエンジンが搭載された何とも珍しい1台と言えるのです。
LC500に搭載されているエンジンは2UR-GSE つまりFシリーズと同一!
LC500には2UR-GSEが搭載され、レクサスのスーパースポーツモデルであるGS FやRC Fに搭載されているエンジンと同一のものです。
スーパースポーツに搭載されているエンジンをラグジュアリー志向の強いクーペに搭載する点においては少し疑問を感じますが、この際細かいことは気にしないでおきましょう。
なお、LC500を試乗する際には、ほとんど事前学習はしないで試乗をしましたが、まったくスーパースポーツの要素は感じませんでした。
レクサスLC500 猛烈な加速性能を持つV8エンジン
走行モードはスポーツS+
ローンチコントロールが装備されているか分かりませんが(多分あると思います)、普通にアクセルを踏み込んでも猛烈な加速感があります。この世に制限速度なんというものは必要ないと思えるくらいです。
また、走行中にキックダウンを行った時の加速性能は過激すぎます。助手席の人が寝ている時に試そうものなら、むち打ちになること間違えないでしょう。
ただし、LC500のエンジンは過激な性能を持ってはいますが、世間一般のスーパースポーツと比較をすると、いたってジェントルな設定になっています。キックダウンを行っても暴れ馬と異なり、容易にコントロールすることも可能です。
メルセデスAMGやBMW Mを運転すると、軽く踏んだだけで激しい加速感や力強さを得られますが、LC500の場合はしっかり踏み込まないと激しい加速は得られません。また、LX570と比較をしてもエコに振っている印象があり、急加速の際にはしっかり踏み込む必要があります。
あとは、
GS FやRC Fの設定がどのようになっているのか気になるところです。
少し違和感のあるエンジン音
V8エンジンの音は美しいです。LC500の場合、普通の市街地走行であれば、レクサスLS460のようなエンジン音で、回転を上げると少しマフラーが太いようなスポーツなエンジン音になります。
ただ、LC500も例に漏れずサウンドジェネレータ(エンジン音を車内のスピーカーで再現するもの)というものが装備されていますが、上手に説明が出来ませんが、若干音がズレているような感じがするのです。(もし思い違いならスミマセン。)
そもそも現在の高級車(特にレクサスのような)は車内の静粛性に優れ、排気音が車内に入りづらい傾向にあります。役員のオッサン、オバサンを乗せるようなセダンは静粛性に優れるに越したことはありません。
しかし、スポーツ志向の強い車の場合、エンジン音を楽しむこともドライブを楽しむ1つであり、そのためにサウンドジェネレータが装備されています。
もっとも、ラグジュアリー志向の強いLC500にサウンドジェネレータが必要かと問われれば、それほど必要性は感じませんし、あまり聞き心地が良くないことを考えると不要では ないでしょうか。
レクサス LC500の走行性能
エンジン音はともかく、エンジンの性能は官能的であると言えるレクサスLC500の走行性能をシチュエーション別に紹介することにします。
高速走行におけるLC500の性能は抜群
LC500で高速道路を走行しました。
レクサスは以前から高速道路における性能(安定感)は優れていました。日本車としては最高品質と言えるくらいですが、LS(40系)/GS/IS/RCとVWゴルフと比較をした場合には、VWゴルフの方が圧倒的に高速道路における性能(安定感)は上でした。
しかし、このLC500はドイツ車に追いついたと言っても過言ではありません。どんな速度であっても指一本で恐怖感無く走行可能ですし、多少風が強い日でしたが、走行中に横揺れを感じることは一切ありません。
また、高速走行中にカーブに差し掛かっても、素晴らしく安定しており、速度を落とすことなくカーブを安心して曲がることが可能です。
私と同じく、レクサスはドイツ車と比較すると大したことが無いと考える方には、ぜひ最新型のレクサス(LCやLS)に試乗されることをおススメします。アンチ レクサスでない限り、大半の方は考えが変わるのでは ないでしょうか。
LC500 Lパッケージにおける山道の走行性能
走行モードは引き続きスポーツS+です。
印象としては、スポーツセダンといったところでしょう。乗り心地とハンドリングを両立しているため、昇天するほどのハンドリング性能はありません。逆にコンフォート モードに切り替えをすれば、クーペであることを忘れるほどです。
また、スーパースポーツの場合にはカーブでどれだけ高いスピードでハンドルを切っても滑りはじめることはありませんが、LC500の場合は簡単に限界を超え滑りはじめます。ただし、すぐにVSC(横滑り防止装置)が作動するため、恐怖を感じることはありません。
したがって、LC500 Lパッケージのハンドリング性能は、実用上 良い部類になりますが、スポーティな走行を楽しみたい場合には、LC500 Sパッケージが良いのでは ないでしょうか。
ちなみに、新車装着タイヤはミシュラン パイロットスーパースポーツと呼ばれる世界中のスーパーカーやスーパースポーツに採用されているタイヤを装着しています。
強力なブレーキ性能
6ポッドアルミモノブロックキャリパー(フロント)
見た目の通り、ブレーキ性能は優れています。高性能タイヤと相まって、60km/hから急ブレーキをかけても、想像以上にすぐに止まります。これだけ制動距離が短いと安心できます。
難点は、高性能ブレーキを装備した車両によくある、常日頃からキーキーというブレーキの鳴きがウルサイ点です。
LC500 街中における走行性能
車体幅が広く、しかも視界に入らないフェンダーの部分が出ているため、慣れるまでは運転に苦労される方は多いかもしれません。
また、
ルームミラーでこのように見えるため、後輪の位置の感覚を覚えないと車庫入れが上手くできないかもしれません。
ただし、ハンドルの切れは高級セダン並みに良いため、後輪の位置をしっかり覚えれば狭い駐車場でも切替しなくても1発で車庫入れが出来ます。
基本的には視界が悪いという意味で運転のしづらい大型セダンだと思えば良いです。
真っ直ぐ走る分には何も感じることはありません。
LC500にはダイレクトシフト10ATが装備
80km/hで走行しても、いわゆるオーバートップギア(オーバー ドライブ)に入ることはありませんし、2,000回転を余裕で切っています。個人的には10ATのメリットを理解することは出来ず、6ATや7ATで充分のように思えます。
その一方、レクサスでは今でもハイブリッド車にはCVT、ガソリン車にはトルクコンバーター式のAT(いわゆる普通のオートマ/トルコンATと呼びます)が採用されており、ブレーキを離すだけでスムーズな発進が可能です。
最新の安全装備 レクサス セーフティシステム+
いわゆる「ぶつからない車」のシステムの名称で、トヨタブランドであればセーフティセンス等と呼ばれています。この項目はいつも紹介しているので、新しくなった点だけ紹介することにします。
クルーズコントロールの速度が変わった
今までトヨタ・レクサス車は115km/hまでしかクルーズコントロールが設定できませんでした。
しかし、レクサスLCでは輸入車と同様に自由にクルーズコントロールの設定することが可能です。(〇が設定した速度です。)これにより、日本国内の高速道路も安全に追い越し車線でクルーズコントロールを利用することが可能です。
もちろん、全車速追従機能(レーダークルーズコントロール)になっています。
レーダークルーズコントロールはステアリングアシストも装備
メルセデス・ベンツの試乗記では数車種でお伝えしたと思いますが、レクサスLCにもレーダークルーズコントロール使用時にステアリングアシストが使えるようになりました。
実際に乗ってみた限り、ステアリングの動きはスムーズでいびつな動きをすることなく、快適に走行することが可能です。
これによりほぼ自動で運転されるため、疲労軽減につながります。
かなり鬱陶しい「ふらつき警報機能」
レーンキープアシストの機能の1つです。
車体がふらついたり、車線からはみ出すと警告音が鳴ります。そしてその状態がしばらく続くと、メーターに「休憩しましょう」と表示され簡単に消すことが出来ません。正直、かなりムカついたので道のど真ん中で停止し休憩してやりました。(一瞬エンジンをOFFにすればOK)
何が問題かと申すと、このセンサーがかなり敏感(ある程度設定は可能)で、道幅の狭い山道を走行する際にセンターラインぎりぎりを通過するとセンサーが反応するのです。この連続で「休憩しましょう」のアラートが出ました。
ハッキリ言って疲労感は限りなくゼロに近い状態であったため、エンジン再始動後はすぐにLKA(レーン キープアシスト)を次に高速道路を走行するまでOFFにしました。
LC500のオートマチックハービーム
レクサスLCにはオートマチックハービームが標準装備されています。
LEDが3灯あるということは、レクサスの伝統的にアダプティブハイビームアシストが装備されているということになる・・・・と思っていました。
しかし、実際に夜間走行時に試したところ、ロー/ハイビームは上下の切替のみでアダプティブハイビームアシストは装備されていませんでした。
レクサスLCはレクサスクーペの最高級車であることを考えると少々残念な印象です。少なくとも、メルセデスベンツであればオプションで装備することは可能です。
レクサスLC500 Lパッケージ その他 気になるところ
いかんせん新設計の車両であるため、従来と異なる部分が多数あります。そんなところ気にするなよと思うところまで紹介しようと思います。
液晶メーターパネルは近未来的
写真左:ノーマルモードかつ情報表示
写真右:スポーツS+モード
レクサスFスポーツに乗るとこんなメーターがありますね。タコメーターを中心配置している点はクルマ好きとしてポイント高いです。ただし、アナログ速度計が無いのは老人としてポイント低いです。(私はデジタルメーターの方が好きですが)
このデザインのメーターパネルはレクサスのスーパーカーであるLFAより受け継がれています。
レバーの類はBMWと同じ あとやる気のあるパドルシフト
左:ワイパー
右:ウインカーとライト
レクサスGSやISの日本仕様車2代目は、間欠ワイパー(AUTO)はBMWと同様ボタンを押すものでした。ウインカーはレバーを動かしても元に戻ります。BMWをパクっているのではないかというくらいです。
そしてBMW5シリーズは2017年よりG30型に移行しました。G30型523dの試乗記は後日詳しく紹介しますが、ウインカーとワイパーの操作方法が
昔のBMWと同じ方法に戻ったのです。それに合わせるようになぜか、レクサスLCも昔のレクサスの操作方法と同じに戻りました。
これもトヨタとBMWの協業の影響でしょうか?
そして、スーパーカー顔負けのLCには立派なパドルシフトが装備されています。フロアシフトでMTモードの操作が出来なくなりましたが、使い心地は良いです。
走行モード切替もレバーになりました。
左:走行モード切替
右:トラクションコントロール・横滑り防止装置切替
従来、上記のような切替スイッチはフロアシフト周辺に装備されていることが多かったのですが、斬新な発想を持って開発されたレクサスはウインカー、ワイパーよりも奥にレバーのようにして設置されました。
頻繁に操作する必要が無いスイッチ類であるため、運転者の位置から遠くても問題なさそうですが、とっさの時にスポーツモードに切り替えをしたくなる筆者の場合には少々遠くて不便に思えました。
レクサスもWi-Fi対応に
レクサスもWi-Fi対応になりました。
アウディA3にWi-Fi接続サービスが始まってから一気に有名になったとも思えるWi-Fiですが、レクサスでもWi-Fiに接続することが出来るようになりました。
ということだと思います。
ここは日本国内であるため、Wi-Fiに接続する必要性も無く、Wi-Fiに関しては以前、Audi A4 2.0TFSIクワトロのページで紹介しており、もはやここで試しに接続することを怠ってしまった次第です・・・。
レクサスLC500 Lパッケージ 総評とまとめ
外観のパッと見は美しいものの、よく眺めると残念に感じる点が多々あり、スタイルの良い女性の目元をよく見ると長~い「つけまつげ」をつけていて、げんなりするイメージです。
横からのデザインは、これだけカッコイイのにすごく残念です。
しかしながら、運転席に着席すれば
そんな細かいことはどうでも良くなります。高級感があるオシャレなインテリアに、レクサスFシリーズに搭載される官能的な高性能エンジン、かといって隣に
女性を乗せていても不快にさせない乗り心地など、LC500は素晴らしい1台であると感じます。
1年の大半を東京都心で過ごす筆者にとって、LCは実用上不便なクルマであることから、所有をしたいとは思いません。一方で、北海道など世界中のワインディングロードを走る時には、また乗りたい1台であることに違いはありません。
レクサスLC500 Lパッケージ まとめ
・この時代に相応しくないイイ車である。
・5.0Lでありながら田舎道だけを走れば、メーカー公表値よりも大幅に良い燃費。
・もし、コーナリング性能に期待したいなら、Sパッケージがおすすめ。
・後部座席は尋常では無いほど狭いため、2名まで乗車が正解。
その他いろいろ。
細かいことは気にしてはいけません。この1台があれば極上の休日が過ごせることは間違えないでしょう。
また、ハイブリッドに関しては、LS500hを少し試乗した限りクソです。LS500hを再度長距離試乗して、試乗記をお伝えしますが、高い自動車税、ガソリン代を払ったとしてもLC500(V8-5.0L)が良い1台だと断言します。
自動車のエンジンでV8に勝るものは無いでしょう。
関連項目:
レクサス LS500h バージョンL(50系)
BMW M4クーペ(F82/DCT)
マセラティ ギブリS Q4
メルセデスAMG C43 4マチック
メルセデス・ベンツC180カブリオレ
スポーツ
レクサス LS460 バージョンC(後期)
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