ホンダ フィット ハイブリッド Lパッケージ
(4WDでの雪道試乗記)
ホンダ
フィットはホンダが販売するコンパクトカーで、2017年現在3代目になります。ライバルはヴィッツ・アクア・ノート・スイフト・デミオあたりが該当しま
す。欧州などではジャズ(Jazz)という車名で販売されています。
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試乗車概要
HONDA FIT HYBRID L-package(4WD)
フィットは、ガソリン車とハイブリッド車が販売されており、今回の試乗車はハイブリッドになります。
特徴として、ハイブリッド車は日本のコンパクトカーでありながらCVTは採用されず、7段変速DCTが採用されており、欧州車に近い乗り味が体感できま
す。
また、3代目フィットハイブリッドより4WDが設定され、E-Fourの50系プリウスが出るまで、コンパクトハイブリッド車は独占市場状態でした。
正式グレードと概要
HONDA FIT HYBRID L-package(4WD)
排気量
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1,500㏄
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最高出力/トルク |
137ps/17.3kgm
(システム出力)
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走行距離 |
約435km
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今回の平均燃費
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-km/L
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車両本体価格 |
約220万円ほ
ど |
試乗日の路面状態 |
スノー
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フィット
ハイブリッド
Lパッケージは、ハイブリッドの中でSパッケージに次ぐ上から2番目のグレードになります。Sパッケージがスポーティ系グレードであることを考えると、実
用上フィットの最上級グレードになります。
LEDヘッドライトなどの必要装備の他、レザー調に見えるシート、本革巻きステアリング、ぶつからない車などが標準で装備されている贅沢な仕様になってい
ます。
ホンダ
フィット3 Lパッケージ 外観(エクステリア)
まずはFITの外観を紹介します。
コンパクトカーらしい理想的なデザイ
ン
FIT フロントデザイン
私としては2代目のFIT2おフロントデザインが好きではあるのですが、フィットらしさを受け継いでいるデザインになっているのでは ないでしょうか。
また、Lパッケージはプロジェクター式ヘッドライトが採用されており、一目でLEDヘッドライトが装備されていることが分かります。
FIT3 横から撮影
フィット3 横から撮影
ハイブリッド専用のホイールキャップが装備されます。(Sパッケージ以外 全グレード共通)
日本のコンパクトカーの美しさを理解できない筆者としてはフィットの横から眺めたデザインの感想は特に感じられません。
私としては同じコンパクトカーなら、アウディA1のデザインの方が美しく、車らしさを感じられるデザインではないかと考えております。(その代わり車内の
広さを犠牲にしていますが。)
FIT3 リアから撮影
フィットを後ろ側から撮影
ハイブリッド車には右側にHYBRIDのエンブレムが装備されます。
ちなみに、写真撮影を怠ってしまいましたが、このあたりの車から、コンパクトカーでも全グレードのナンバー灯にLEDが採用されました。
ホンダ
フィット3 Lパッケージ 内装(インテリア)
フィットハイブリッド Lパッケージのインテリアを紹介します。
本革巻きステアリングなど、なんだか高級感があります。
コンパクトカーらしい理想的なデザイ
ン
コンビシート(プライムスムース×ファブリック)という名称のシートのようです。
日本のコンパクトカー(上級グレード)ではこのタイプのシートが主流のようで、私が今まで試乗した車種だと、
・アクア X-URBAN
・カローラフィールダー ハイブリッド W×B
・ハスラー JスタイルⅡ
などが、上記のようなシート(ハーフレザー調)になっています。
しかし、フィットにとって上記のコンビシート(プライムスムース×ファブリック)は非常に重要なアイテムであります。
それは、
静電気が発生しにくいのです。
フィットに限らず、ホンダの高級車を除くファブリックシート車に乾燥した時期に乗ると、必ずと言って良いほど静電気が発生します。
静電気自体はほかのメーカーの車でもよくあることですが、ホンダ車の場合は火傷するのではないか?と思うほどバチっと静電気が起きるため、冬場乗る際には
十分な注意が必要でした。(どのような注意が必要かは別途紹介します。)
しかし、フィット Lパッケージに装備されているコンビシートの場合、なかなか静電気が発生しないため、安心して乗り降りすることが出来ました。
なお、座り心地や長距離移動時の快適性を考えると、ごくごく普通です。悪いことはありませんが、欧州車のような長距離向けの快適性は感じられませんでし
た。
フルオートエアコンを装備
フィット ハイブリッド Lパッケージの快適装備の1つです。
AUTOエアコンを使用する場合、内気循環か外気導入を切り替えられないのが難点です。(極寒地では関係ありませんが、)内気循環が好きな私としては、
AUTOと内気循環が併用できないフルオートエアコンを残念に思います。
後部座席の広さはクラス最大級
FIT3の後部座席
ホンダ フィットは初代より後部座席の広さに定評がある車です。その
後部座席の広さは現行のフィット3にも受け継がれており、日本の1,300㏄クラスの中では最も広い1台になるでしょう。(フィット以外だと日産ノートく
らしでしょうか?)
ただ、大学生などでよく見受けられる後継ですが、男5人でフィットに乗り込むのは少々無理があります。男5人なら、男は黙ってステップワゴンにしましょ
う。
ラゲージスペースは標準的?
フィットのラゲージスペース
広いとは思いますが、実際大きな荷物を積むことは難しい容積です。
後部座席を倒せば、ある程度のスペースは確保可能です。
実践しましたが、スキー板を積む場合には6:4の後席のどちらかを倒す必要があります。したがって、4WDであってもフィットでスキー場に向かう場合に
は、3人(ぎゅうぎゅうに詰めれば4人)である必要があります。
(キャリア・宅配便・レンタルを利用した場合はこの限りではありません。)
ホンダ フィット3
ハイブリッド 走行性能
フィット ハイブリッドの走行性能を紹介します。
街中ではコンパクトカーらしく運転し
やすい
フィットは他の国産コンパクトカーと比較をすると最も運転のしやすいコンパクトカーであると私は考えています。足回りも1人で乗車する分には問題ありませ
んし、街中走行においての加速性能も悪くありません。
FITハイブリッドとガソリン車を比較した際、発進時に、ハイブリッドはアクセルを深く踏みこまず気持ち良く加速が出来るのに対し、ガソリン車の場合はあ
る程度 深く踏み込むことで気持ちよく加速が出来ます。(ガソリン車はモッサリ感があります。)
他の国産コンパクト(1300㏄ガソリンや1500㏄ HV)と比較をすれば、デミオ ディーゼルを除き優れた加速性能があると言えるでしょう。
あと、車庫入れも容易に行えます。(これは他のコンパクトカーも同じですが)
高速道路の安定性も優れている
FITは欧州でJAZZという車名で販売されていることもあり、欧州の高速道路でも快適に走行できることを求められています。
そのためもあり、高速道路走行においては、デミオに次いで良い性能があると言えるでしょう。
参考までに、日本のコンパクトカーで高速道路走行時の性能が良いと呼べる車種は、デミオ・フィットの他に、スイ
フトではないでしょうか?(ガソリン車やディーゼルもも含め) 少なくとも、VWポロやアウディA1には及びません。
山道走行性能には難点あり
プリウスやリーフを真似したようなシフトレバーになっています・・・。
さて、フィット3ハイブリッドのミッションは7段変速DCT(Dual Clutch
Trancemission)です。欧州車のAT(ノークラッチ車)では一般的に採用されていますが、日本車では日産GT-Rなど一部に限られています。
私が感じる一般車種のDCTのデメリットとして、一般走行における発進時においてクラッチが繋がるまで若干のタイムラグがあることから、トルコンATと比
較をすると
加速がしづらい傾向があります。
しかし、FIT
HVの場合にはタイムラグが生じている間にモーターのアシストがあるため、DCTのデメリットを解消している印象があります。
で、本題の山道走行の難点ですが、1速から7速までのギアがあるにも関わらず、下り坂で使用する際に、自分の好きなシフトポジションに入れること出来ない
ため、Lに入れると必ず急減速してしまいます。
ちょっとエンジンブレーキを使いたくても、強制的に3速や2速までシフトダウンされるため、強力なエンジンブレーキしか得ることが出来ないのです。
そのため、フィットは軽快なクルマであるにも関わらず、山道の走りを楽しむ以前の問題であるように感じます。
ホンダ フィット3 ハイブリッド
4WD 雪道走行性能
FIT3の最大の目玉はハイブリッド車において4WDが設定されたことにあります。フィット3のデビュー当時、ライバルであるトヨタのハイブリッド車(ア
クアやプリウス)には4WDは設定されておらず、雪国でも走れるハイブリッドとして大きな話題になりました。
なお、筆者が雪道運転をしたことのある小さめの車種は、
・デミオ(クソったれe-4WD)⇒坂道発進以外ではFFモードで走行した方がマシ
・カローラフィールダー⇒マークXよりもボディが軽く運転しやすい印象あり
くらいしか無く、あまり参考にならないかもしれません。
雪でも埋もれても問題無し
少しくらいなら雪に埋もれても問題無さそう
雪国に住んだり、スキー場に行った際に問題になるのが雪掻きです。雪が降っている中、1日中野外に放置しておけば・・・、
前に進めないくらい雪に埋もれてしまいます・・・。
(上の写真は悪意を持ってブルドーザーにしたものですが・・・)
上の写真ほどでなくても、大雪の中、フィットの雪の中
埋もれさせてしまいましたが、問題無く発進を行うことが出来ました。(あくまで北海道の軽い雪です。)
フィットは雪の轍に弱い
フィットは雪の市街地にめっぽう弱いです。
フィット
ハイブリッド4WDで雪道の轍を走行していると、4WDであっても車線変更が難しいです。雪をまたぐ際に、車体のコントロールを失うため、最悪の場合はス
ピンしますし、少なくとも相当の技術が必要になります。
なお、北海道基準の速度で車線変更を行おうとしているため、車線変更は難しいものの、十分に追突されることに注意をした上で速度を落とせば
問題無く車線変更は可能です。
※北海道では速度域が高いため十分に注意が必要です。
峠道 アイスバーンになると曲がれな
い・・・
十分に速度を落とせば問題ありません。
しかし、スキー場の帰り(夕方)の時間帯になると気温が下がってくるため、路面が非情に滑りやすくなります。そんな非常に滑りやすい路面でカーブを曲がろ
うとすると、まず曲がり切れません。
強引に曲がろうとすると、簡単にコントロールを失いやすくなり、恐怖の瞬間が訪れます。
(横滑り防止装置は作動しますが完全なモノでは無く、何となく不安です。)
そのため、安全運転が求められますが、筆者自身の運転能力の問題もあり、軽バンに煽られる(厳密には先に行かせてほしいアピール)始末です・・・。
何はともあれ、フィット ハイブリッド
4WDで雪道を走行する際に、特にカーブや轍では十分に速度を落として走行することで安心して走行することが可能です。
ホンダ フィット3 ハイブリッド
4WD その他 気になる点
先述した以外でフィットの気になった点を紹介する、どーでも良いコーナーです。
ハイブリッド専用のメーター
エコインジケーターのようなものでしょう。
ハイブリッド専用装備になります。
タコメーターが無いと思うと、
デジタルですがタコメーターは装備されています。
古い人間から申し上げると、もう少し細かく表示されるタコメーターか、アナログ(風)のタコメーターの方が見やすくてありがたいと思います。
ただし、
メーター右側はマルチインフォメーション・ディスプレイとなっているため、先ほどのタコメーター以外に、ハイブリッド表示などもあります。(いずれも
FIT HYBRIDのみ)
あんしんパッケージ
フィット ハイブリッド Lパッケージには「あんしんパッケージ」を装備
要するに、「ぶつからない車」と「充実したエアバッグ」が装備されています。今回、「ぶつからない車」であるシティブレーキ
アクティブシステムが作動することは無く、どの程度の性能が得られるかは調査出来ませんでした。
また、クルーズコントロールも装備されていますが、アクティブクルーズコントロールではないため、セットしたまま前方車両に近付いても、自動的に減速する
ことはありません。
ホンダ
フィット3 Lパッケージ 総評とまとめ
フィットは、街中を運転するにはハンドルの切れも良く、ハイブリッドでなくても加速が良いため、もっとも走行性能の優れた日本の(←これ重要)コンパクトカーでしょう。
後部座席もクラス最大級の広さであることから、快適性にも優れたコンパクトカーであるとも言えます。
また、フィットハイブリッド LパッケージやSパッケージを選択すれば装備も充実しており、走行/安全性能以外では高級車と大差はありません。
かなり褒められる点は多いものの、フィットハイブリッドは度重なるリコールで信用を失った1台であり、もう少し開発期間を眺めに設けるべきだったのでは
ないだろうかと感じしてしまいます。(FIT2もガソリン車は優れた車でした。)
フィット3 ハイブリッド
Lパッケージ まとめ
・コンパクトカークラスの中では最も優れた1台。
・アクアと比較をすると、DCTのショックが気になる。コーナーが軽快過ぎておもちゃみたい。
・デミオ ディーゼルと比較をすると、力強さは感じられない。
・ガソリン車で考えた場合には、FIT2の方が良い車であった。
・運転のしやすいクルマ。
・モーターアシスト+DCTの組み合わせは特に日本人では好き嫌いが分かれそう。
・FIT HYBRIDで山道を走ることが多いなら、パドルシフト装備のSパッケージがオススメ。
4WDの性能について
・雪道は普通に走れる。
・上り坂や多少埋もれたとしても発進は余裕。
・轍に弱く、車線変更が出来ない。
・アイスバーンの峠道で速度を落とさないままカーブを曲がろうとすると、コントロールを失う。
⇒VSAが作動して自動的に体勢を整えてくれます。(過信は厳禁)
コンパクトカーの中では実用上、最も良い車であると思います。あとは、220万円の車両本体価格を考えると、何か別の良い車が買えるなどと考えないことで
す。
関連項目(その他の試乗記):
トヨタ アクア
X-URBAN(10系/後期)
マツダ デミオXD(ディーゼル)
日産 ジューク NISMO
スズキ ハスラー JスタイルⅡ ターボ
アウディA1 1.0TFSI
スポーツバック
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トヨタ カローラフィールダー
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